ペットの血液検査は大きく血球計算と生化学検査に分けられます。
この記事では、生化学検査の検査項目をご紹介します。
血球計算の検査項目はこちらの記事で紹介しています。
生化学検査
TP(総蛋白)
意義
- 血液中の蛋白質の総量
- 血球計算のTPと同じ?
- アルブミン、グロブリンの数値も併せて評価する
犬の基準値(目安)
- 5.0〜7.1
低いと疑われる病気
- 下痢
- 栄養不良
- 肝障害
高いと疑われる病気
- 脱水
- 炎症
Alb(アルブミン)
意義
- 肝臓で合成される血液中に多く含まれる蛋白質
犬の基準値(目安)
- 2.6〜3.9
低いと疑われる病気
- 下痢
- 栄養不良
- 肝障害
- 腎障害
- 腸疾患
- 出血
高いと疑われる病気
- 脱水
Glob(グロブリン)
意義
- 血液中に多く含まれる蛋白質
- だいたい TP = Alb + Glob が成り立つ
犬の基準値(目安)
- 2.1〜5.3
低いと疑われる病気
- 免疫異常
高いと疑われる病気
- 脱水
- 慢性炎症
- 腫瘍
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
意義
- 肝細胞に多く含まれる酵素
- 前はGPTと呼ばれていた
犬の基準値(目安)
- 25〜90
高いと疑われる病気
- 肝障害
ALP(アルカリフォスファターゼ)
意義
- 肝・胆道系疾患、骨疾患で上昇する肝酵素
- 骨の成長期、ステロイド、腫瘍などの影響で上昇する場合もある
犬の基準値(目安)
- 70〜320
高いと疑われる病気
- 胆汁うっ滞
- 胆管肝炎
- 肝障害
- 骨障害
GGT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)
意義
- 胆道系疾患で上昇する肝酵素
- γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)とも呼ばれる
犬の基準値(目安)
- 〜10
高いと疑われる病気
- 胆汁うっ滞
- 胆管肝炎
- 肝障害
Tbil(総ビリルビン)
意義
- ヘモグロビンやポルフィリン体の分解産物
犬の基準値(目安)
- 0.3〜0.9
高いと疑われる病気
- 肝障害
- 黄疸
Tcho(総コレステロール)
意義
- 血液中に含まれているコレステロールの総量
犬の基準値(目安)
- 70〜300
低いと疑われる病気
- 肝不全
- 小腸疾患
- 甲状腺機能亢進症
高いと疑われる病気
- 肝障害
- 胆汁うっ滞
- 胆管肝炎
- 腎機能障害
- 糖尿病
Amy(アミラーゼ)
意義
- 膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素
犬の基準値(目安)
- 500〜2200
高いと疑われる病気
- 膵炎
Glu(グルコース)
意義
- 血糖値
- 生体のエネルギー源となる
- 興奮やステロイドの影響で上昇する場合もある
犬の基準値(目安)
- 80〜130
低いと疑われる病気
- 飢餓
- 膵臓癌
高いと疑われる病気
- 糖尿病
BUN(尿素窒素)
意義
- 血液中の尿素に含まれる窒素
犬の基準値(目安)
- 9.1〜31.9
低いと疑われる病気
- 肝機能低下
高いと疑われる病気
- 脱水
- 腎機能低下
- 消化管内出血
Cre(クレアチニン)
意義
- 筋肉中にあるクレアチンが代謝されてできる非淡白性の窒素化合物
犬の基準値(目安)
- 0.5〜1.4
低いと疑われる病気
- 著しい筋肉の減少
高いと疑われる病気
- 腎機能低下
Na(ナトリウム)
意義
- 細胞外液に多く存在し、体液の濃度調整、血圧の維持などに働く
- 陽イオン
犬の基準値(目安)
- 137〜150
低いと疑われる病気
- 嘔吐
- 下痢
- 重度腎不全
高いと疑われる病気
- 嘔吐
- 下痢
- 慢性腎不全
K(カリウム)
意義
- ナトリウムとのバランスによる浸透圧の維持、血圧上昇の抑制、情報伝達にかかわっている
犬の基準値(目安)
- 3.4〜5.2
低いと疑われる病気
- 嘔吐
- 下痢
- 慢性腎不全
高いと疑われる病気
- 腎不全
- 排尿障害
Cl(クロール)
意義
- ナトリウムと同様の働きをする陰イオン
犬の基準値(目安)
- 7.9〜12.2
低いと疑われる病気
- 嘔吐
- 下痢
- 重度腎不全
高いと疑われる病気
- 嘔吐
- 下痢
- 慢性腎不全
Ca(カルシウム)
意義
- 骨代謝や筋収縮、血液凝固などにかかわる
犬の基準値(目安)
- 102〜117
低いと疑われる病気
- 上皮小体機能低下症
- 腎機能低下
高いと疑われる病気
- 上皮小体機能亢進症
- 悪性腫瘍
P(リン)
意義
- 骨代謝にかかわる
犬の基準値(目安)
- 1.6〜6.3
高いと疑われる病気
- 腎不全
CRP(C反応性蛋白)
意義
- 炎症が起こると肝臓で合成される蛋白質
犬の基準値(目安)
- 0〜1
高いと疑われる病気
- 炎症
この記事では、ペットの血液検査のなかの、生化学検査の検査項目について紹介しました。
症状別のチェック項目についてまとめた記事もありますので、気になるかたはご覧ください。
うちの子は腎臓が悪くなってしまったので、薬のほかに点滴も週2回受けています。
犬は歳を取るにつれて腎臓病のリスクが増えるそうです。
早めのケアが健康長寿の助けになるかも知れませんね。
コメント